自己啓発の促進
勉強会参加者の問い
前回に引き続き、テーマ6.人材開発への質問です。アカツキで採用を担当している秋山さんの問い。
自分の足りないスキルを把握し、自らの意思で学ぶ『自己啓発』が当たり前の風土を作るにはどうしたら良いでしょうか?
うまくいっている企業はあるんでしょうか?
本人のあげる問題点
『自己啓発は「忙しいので、ほとんどやっていない」のが多くの個人。企業は1人平均5千円を支援している』で紹介したとおり、社員自身が感じている自己啓発をおこなう上での問題点には以下があがっていました。
- 仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない
- 費用がかかりすぎる
- 家事育児が忙しく、自己啓発の余裕がない
でも、ここを仮に解決できたとしても、自らの意思で学ぶ人は増えないのではないでしょうか?もっと根本的な問題があるのでは、と秋山さんは考えました。
仕組みだけでは、そもそも解決できない
企業が自己啓発を社員に促すような仕組みをいくら作っても、結局は意欲がない人には刺さりません。
例えば「金額補助制度」や「就業時間中に自己啓発をする時間を作る」が仕組みとしてあるだけでは効果を発揮していないことは、多くの社会人にとっては自明のことですね。
まさに『馬を水飲み場につれて行くことはできるが、水を飲むかどうかは馬次第』です。
「では企業にできることってなんでしょうか?」と秋山さんは問いかけます。
うまくいっている企業の事例
秋山さんは大手IT企業の営業部門で働いている友人にヒアリングをかけます。同社の社員は、自らの意思で学ぶことがあたりまえの風土である、とのこと。その状況は以下の3点です。
❶切迫感ある厳しい環境
日々の変化が早く、自らインプットをしないとついていけなくなる環境で、「自らやりたい」というよりは「切迫感」がある。立ち止まっていては自分の居場所がなくなる、厳しいUp or Out の世界観といのことでした。
❷刺激しあえる職場仲間
職場の仲間たちが当然のように自己啓発を行なっていることで、自分もやる、とお互いに刺激を与えあっているそうです。❶はネガティブな側面も強いのですが❷はポジティブな気持ちとのこと。
❸知的欲求が高い人材の採用
採用時に知的欲求が高い人材を見極めている、とのこと。そもそも意欲のある人を採用するため❷が生まれているのかも知れませんね。
ポイントは採用と奨励
秋山さんの問いかけと素材を元に、議論を進めポイントを整理しました。
学ぶ習慣のある人を採用する
まずは採用です。風土づくりには『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』で言う「誰をバスにのせるか」が最も重要だと考えます。学ぶ習慣のある人かどうかは、面接で確認できることですね。
学びあう場を奨励する
次に学びあうことが、あたりまえになる環境づくりです。
- 上司や職場内で影響力のある人が、率先して学んでいて、その姿勢をあたりまえとしていること。
- 自主的な勉強会などを行いやすくする。場所の提供など会社が自然なサポートを行うこと。
- 最低限、邪魔しないこと(業務と関係ない、そんなことしている暇があるのか、などと言わないこと)。
- 面白い学びの場を企む人がいること(あなたがそうなること)。意図的に仕掛け、客寄せパンダとなり「こうすれば楽しいんだ」と周囲に思わせること。
- 社内広報、社外広報、報奨制度などを使って上の動きを会社が「応援している」「もっとやって欲しいと思っている」ことを伝える。
勉強会『人材マネジメントの壺』
実はこの勉強会こそ好事例なのではないか、という話になりました。公私ともに忙しいメンバーが、隔週日曜日にわざわざ集まって何時間も大真面目に議論して盛り上がっている。
なぜこうなっているかを考えると、ほとんど上のポイントに当てはまります。特に一番大切なのは誰がいるか、参加者の質です。学びたくて率先して参加している手上げメンバーがこうやって揃って、面白くならないわけがないですよね。この勉強会も本当に参加者に恵まれました。

次回はテーマ7.組織開発への質問です。