登りたくなる理想の等級
参加者の問い
前回に引き続き、勉強会「人材マネジメントの壺」での参加者の問いを取り上げたいと思います。
今回はテーマ2.等級について、リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所の荒井さんからの問いです。(荒井さんはこのブログ壺中天でいつもイラスト、カエルくんを描いてくれています♪)
人によって、歩みたいキャリアや欲しい報酬が多様化する中でも、人が思わず登りたくなる階段(等級)、乗っかってみたくなる等級とはどんなものでしょうか?かなり抽象的な問いになってしまいました。(*´ω`*)ゞ
この問いには、他の参加者からも「登りたくなる等級!それができたら最高ですね」という声があがりました。しかし、それがどんな形なのか、なかなか想像がつきませんでした。
事業場に今いる従業員の価値観を踏まえた「最大公約」を踏まえた等級を用意することぐらいしか思いつかないです(泣)
「自分だったらどうかなぁ」という荒井さんの投げかけにはこんな意見が。
- お金がすぐ手に入る?
- 名声?
- 役職がたくさんあってすぐ上がる?
- 時間?
- 実績?
- ありがとうの声?
「働き手にとって、なぜ等級は必要なんだろう?」と考えていくと、「働くことで何が欲しいんだろう?」というテーマ4.報酬の問いにもつながってきます。
その一方で「企業ビジョンへのコミットが前提ではないでしょうか?」という声もあがりました。その企業が実現したいことを、自分もやりたいと思っている、だからその等級に乗ろうと思える、という意見です。
その会社のビジョン、ミッションに繋がっている「その会社らしい」等級であることかと思います。その理想に共感し、貢献するためにはこうあれば良い、という人材像にコミットできるかどうか、触発されるかどうか、が重要なのではないでしょうか?
どうやら登りたくなる等級は、企業特性、個人特性によって、それぞれ違うようです。大切なのはそのマッチングではないか、と議論は進みました。そのためには双方に以下の努力が求められる、というのがこの勉強会で参加者の皆がたどり着いた結論です。
企業側に必要なこと
企業側にはこの3点が求められます。
- 目的とメッセージを明確にする
- 実現の方法・手法を選択する
- それをオープンに知らせる
まずは、会社がビジョンに向けた成果をあげ続けるために、何をランク付けするのか、またはしないのか。目的とメッセージを明確にする必要があります。
企業のビジョン、ミッション、競争優位性、そのために必要な人材像、必要な人材を巡る労働市場、その人材の指向特性などによって選択される等級は異なるはずです。
例えば自動車会社は職能、外資系コンサル企業は職務、とそれぞれの選択をしています。年功を選択した未来工業も、等級で差をつけないことを選択したZOZOTOWNも、100人100通りを謳ったサイボウズもその目的とメッセージと手法の選択の理由が明確です。
一方で、オープンにすることは、多くの企業にとって高いハードルがあるようです。等級や報酬の実態は過去の経緯や採用上の必要性から複雑かつ有機的になっているからです。ポリシーに沿って前進する誠実な姿勢と胆力が求められます。
企業内で人材観の方向性(マネジメントポリシー)が揃わないと、こういった等級の議論は空中戦になってしまいます。以前ご紹介したリクルートWorks12軸の価値軸は、私の経験上その検討の土台となり得ると思います。
個人側に必要なこと
個人に必要なのは、以下の2つです
- 志向の自覚
- 自己決定
自分は何によってランク付けされると(もしくはされないと)嬉しいのか、知る努力をすること。その上で自覚的に企業を選ぶことが大切です。
例えそれが正解でなくても自己決定することが重要です。自分の人生を自分で選択するキャリア開発、プロフェッショナル志向の考え方ですね。また、その選択のためにも企業側にはオープンであることが求められる、とも言えそうです。
次回も、等級への問いが続きます。Q4.日本企業の等級は、なぜ「人」を見るのか?です。
「Q3.登りたくなる理想の等級はどんな形?」に3件のコメントがあります
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